新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの効果は?

ワクチンで感染者数、死者数は減らせたか?京都大学の茅野大志氏らによって新型コロナウイルス感染症のワクチン接種によってどの程度、コロナへの感染を抑えて、死亡者数を減らしたのかについて報告がオンライン版Lancet誌に2022年8月11日公開されました。

こちらのページでは、公開された記事を元にどの程度のワクチンがどの程度の効果があったのかについて紹介していきます。

実際のコロナ症例数と死亡例を元に算出したデータ

こちらの報告は2021年3月3日から11月30日までに、「HER-SYS(新型コロナウイルス感染症等情報把握・管理支援システム)」に登録された新型コロナ感染確定数と、2021年3月24日から11月30日までの新型コロナ関連の死亡データを抽出し、ワクチン接種率に関する情報は「VRS(ワクチン接種記録システム)」と「V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)」からデータを抽出しています。

ふたつのワクチン接種システムから抽出したデータを統合した結果
2021年11月30日までに1回以上のワクチン接種をした方の割合は

年齢 男性 女性
15~24歳 77.0% 81.8%
25~34歳 77.2% 81.3%
35~44歳 79.4% 83.4%
45~54歳 87.8% 91.4%
55~64歳 88.9% 91.0%
65歳以上 94.2% 94.3%

となっています。

こちらのワクチン接種率データと感染数などのデータを元に、ワクチンがどの程度感染者数や死亡者を減らしたのかを算出したとのことです。

データから予防効果を算出した結果

前項で紹介した感染数や死亡例のデータとワクチン接種率データから実際に予防効果を算出した結果

年齢 男性 女性
15~24歳 25,463人 28,132人
25~34歳 38,931人 36,183人
35~44歳 31,711人 27,670人
45~54歳 38,653人 42,704人
55~64歳 32,905人 33,294人
65歳以上 103,637人 125,313人
合計 271,300人 293,297人

という結果になっています。

ワクチン接種が2万人以上の方が新型コロナウイルスの感染を予防したというデータとなりました。
全体でみると男性で27万人、女性で29万人、併せて56万人もの方がワクチンによってコロナ感染を免れているという結果となっているのです。

また、死亡を防いだ数を算出したデータはこちら

年齢 男性 女性
15~24歳 6人 1人
25~34歳 15人 1人
35~44歳 58人 20人
45~54歳 347人 69人
55~64歳 1,023人 316人
65歳以上 9,487人 7,277人
合計 10,938人 7,684人

死亡を防いだ数に関しても男性全体で1万人、女性全体で7千人もの数となっており、高い予防効果があったと考えられています。

また、ワクチン接種回数別でのデータについては

1回だけ接種した場合

感染予防 死亡
年齢 男性 女性 男性 女性
15~24歳 8,692人 8,655人 2人 1人
25~34歳 11,167人 9,555人 5人 0人
35~44歳 9,642人 7,877人 20人 8人
45~54歳 13,979人 15,248人 126人 28人
55~64歳 12,905人 13,254人 303人 91人
65歳以上 23,045人 27,051人 1,391人 1,087人
合計 79,430人 81,641人 1,847人 1,215人

2回摂取した場合

感染予防 死亡
年齢 男性 女性 男性 女性
15~24歳 16,771人 19,476人 4人 0人
25~34歳 27,764人 26,628人 10人 1人
35~44歳 22,069人 19,793人 38人 12人
45~54歳 24,674人 27,456人 221人 41人
55~64歳 20,001人 20,039人 720人 225人
65歳以上 80,592人 98,262人 8,097人 6,190人
合計 191,870人 211,656人 9,090人 6,469人

となっています。
感染及び死亡どちらについても、1回だけの接種に対して、2回目の接種を適切に受けた方の方が、より高い予防効果があったというのがわかります。

ワクチン接種によって予防した割合は?

前項で提示した算出データの結果から、新型コロナウイルスの感染者数を33%、死亡者数67%減らしたと推定しています。
データを収集した期間は、現在流行しているオミクロン株のひとつ前に流行したデルタ株が主流だったタイミングではありますが、ワクチンを接種によって新型コロナの蔓延を予防するのにワクチンが非常に役立ったと考えられます。

現在はオミクロン株が流行していますが、それでもワクチン接種による効果には十分に期待できるため、少しでも新型コロナウイルス感染症のリスクを下げたいと考えている場合には、適切に摂取するようにしましょう。